7月26日 19:00 ~ 7月27日 7:00

12時間マラソンへ参加してきた。
1.3キロのリレーマラソンである。
コースの特徴はアップダウンが激しいこと。くねくねなこと。

約5分間。
たった5分間、自らと向き合うだけの少なすぎる時間。

僕はその少ない時間に現時点での極限を見ることとなった。

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20:00 若干遅れながらも合流して1週目を走る。悪くないがまだ調子がでない。


20:40 2週目を走る。さらにタイムが下がる。 5分10秒。悔しい。


21:20 激走ランナーのエースに走り方のコツを教わる。5分2秒が出る。

 (1)のぼりは軽くあごを引き、肘を引く意識を強くもって腕を振る
 (2)くだりはとにかく力を抜く。ブレーキを踏まない。
 (3)ヘアピンカーブは曲がる直前にスピード調整をしておいて勢いを殺さない。
 (4)1.3キロ走の距離の場合、序盤半分は8割5分の力、終盤半分に全力を出すペース配分で。


22:00 僕はなんとしてでも4分50秒という数字を出したかった。
僕は思った。「一晩で足は速くならない。でも今出来ることを最大限工夫して記録を出す。」

 記録は4分56秒。結果的にこの日の最高タイムが出た。確かに最高の走りが出来た。

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まだ余裕の表情だった。
















24:00、2:00、4:00…
 毎回全力で力を使い続ける自分にとっては5分をきることが、その日のコンディションの出来る精一杯のことだった。
 だけど僕は思った。絶対にタイムは安定させる。毎回妥協しない。

やったことがある人ならお分かりだろう。
人は疲れる。走れば走るほどきつくなる。
肉体がきつくなる。
肉体がきついと精神的にもきつくなる。
10週を超えたとき、すでに意識は朦朧としていた。これ以上タイムは伸びないと確信した。
5分10秒が出れば御の字だと思っていた。ドラマは次の回に訪れる。


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真夜中、というか朝方である。

















5:50 この日の最大の山を迎えた。

タスキを受けて走り出す。
全くの同タイミングで他チームの女子選手がタスキを受けた。
僕と彼女の目が合う。
お互いがにらみ合った。

序盤、なんとしてでも負けたくなかった。スピードはほぼ互角。少し僕が先を走っていた。
しかし、ペース乱れぬままその足音は追随してくる。ペースを落とすことが許されなかった。

3回目のヘアピンカーブを曲がりのぼりに差し掛かったころ、身体の異変が訪れた。
みぞおちが痛い。筋肉疲労で身体が悲鳴をあげていた。
一瞬の気の緩みのタイミングで彼女に一気に抜かれる。追いかける自分。差はぐんぐんと開いていく。
最後のヘアピンカーブにさしかかること、彼女との差はおよそ10秒は開いていた。
それでもまだ追いつけると信じて走った。

はじめて経験した身体の異変がある。
走りながら呼吸を吐いた時に、勝手に嗚咽が漏れる。吸うための機能を全うするためか身体が全力で二酸化炭素をはいている。喉がしまり声が漏れる。

ラストの直線。女の子はもうゴール付近まで進んでいた。

その時、たまたま後ろを走るランナーがラストの直線で僕を抜きにかかる。

もう体力は無いんだ。もうキツイんだ。
でもなぜだろう。なぜなんだろう。
僕はなぜだか全力で走った。いや、全力で”走れた”のだ。

死に物狂い。まさに死に物狂いでタスキを次のランナーに渡した。
倒れこんだ。

結果の時間を見たくなかった。
全力で向き合った5分は、自分にとってあまりにも辛い5分だった。

悔しくて向こうを向いた。
と同時に、その苦しみから開放された瞬間は快楽に近いものがあった。
今振り返るとおそろしい。


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女子ランナーに追われる。ほとんど意識が無い。
















6:30 最後の自分の番だった。
全力で走った。結果は5分13秒。それが自分に出来る最高のパフォーマンスだった。

走っている途中にラストのヘアピンカーブに差し掛かる時他のチームの選手からこんな声が聞こえた。

「後悔しない走りをしろ!!!!」
誰が誰に言ったのかわからない。
でもその時の僕にとっては最後倒れずに走りきるだけの勇気を十分にくれたのだ。



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【警察間のチームメイトの先輩に教えてもらったこと】

・外的な環境はいつだって違う。一流のアスリートは自らのコンディションを把握してどんなコースでもこなせるから一流なのである。

・自分が最高のパフォーマンスを出せた時を常に記録する。当たり前の練習を怠らずにコツコツこなす。それは仕事でも一緒。マラソンで得られたことを他の事に活かすんだ。


【最後から2周目の激走で体験したこと】

・ライバルの存在は圧倒的にポテンシャルを引き出す。
この周のタイムは結果的に5分3秒だった。体感では5分15秒程度。なぜならば5分10秒を切れる力は既に僕には無かったからだ。
それでも自分が想定したタイムよりも10秒以上早い時間で僕はゴールしていた。

 最後に猛スピードで追い抜いていった女の子。
 ラストの直線の追い抜け追い越せ。

2人の、自分以外の向き合う相手のおかげで最後まで諦めずに走りきることができた。


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そりゃあ多少おおげさに聞こえるかもしれない。ちょっと大げさに書いたから。笑

しかし、上述は全て事実である。僕はマラソンを通じて自分が今まで感じたことの無い世界を体感することができた。

走っていると感じることがある。
「何のために走っているのか。」思った瞬間にスピードが落ちるから不思議である。

もし答えを言うなら達成感ではないだろうか。何かを達成することは快楽なのだと知っている。だからやる。



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